研究の概要
脱髄とは、神経線維を取り巻いている髄鞘(ミエリン)が何らかの原因で、変性・脱落する病態です。
ミエリンは神経線維の絶縁体なので、ミエリンが変性・脱落すると、神経の伝達がうまくいきません。そのため、脱髄になると手足が麻痺したり、視力が衰えるなどの症状が出てきます。
脱髄は難病のひとつですが、その原因はよくわかっていません。
我々は、2011年、先天的に脱髄となるラット(dmyラット)を開発しました。この dmyラット を用いて、脱髄の原因を探しました。
その結果、ミトコンドリアにあるMRS2というマグネシウムチャネルに異常があることを突き止めました。つまり、dmyラットではMRS2が発現しておらず、ミトコンドリアが本来の機能を果たさなくなり、脱髄が引き起こされていました。
本研究では、ミトコンドリアの機能不全により脱髄が引き起こされるという、新しい知見を提唱しました。本研究は、実験動物のラットを用いて得らえたものですが、ヒトにもMRS2はあるので、ヒトの脱髄の原因としてミトコンドリア機能不全が考えられました。
この研究成果は、2011年1月6日、PLOS Genetics誌に掲載されました。
プレスリリース
ミトコンドリアの機能不全により脱髄が起こることを発見(京都大学、平成23年1月7日)http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/110107_1.htm
新聞等
本研究成果は、京都新聞(1月7日夕刊 8面)、日刊工業新聞(1月10日 11面)、日本経済新聞(1月7日夕刊 14面)、毎日新聞(1月7日夕刊 7面)および読売新聞(1月8日 2面)に掲載されました。
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