多くの人々がアトピー性皮膚炎に悩んでいます。
アトピー性皮膚炎の特徴は、1)かゆみのある湿疹、2)アトピー素因(家族歴、IgE抗体を産生しやすい体質など)、3)皮膚バリアの機能障害、です。
厚生労働省の調査(平成12-14年度)によると、小学生の有症率は約11 %であり、成長に従って減少する傾向にありますが、20、30代でも8 % を越えます。
今回、われわれは、KFRS4ラットという愛玩ラット由来の近交系ラットをアトピー性皮膚炎のモデルラットとして樹立することに成功しました。
KFRS4ラットは、8か月齢で雌の100%、雄の50%が、皮膚炎を自然発症します。この皮膚炎には引搔き行動が伴います。 また、皮膚炎の進行に伴い、血中IgEも上昇します。さらに、KFRS4ラットは皮膚バリアに機能障害があることがわかりました。
また、ステロイド外用薬を塗布すると皮膚炎が発症しないこともわかりました。
以上のことから、KFRS4ラットは、ヒトのアトピー性皮膚炎と類似の症状を示すことがわかりました。 そのため、アトピー性皮膚炎のモデルラットとして有用であると考えています。
本研究は、 平成27年10月、Journal of Dermatological Sciences 誌に掲載されました。
T. Kuramoto et al., Atopic dermatitis-like skin lesions with IgE hyperproduction and pruritus in KFRS4/Kyo rats
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