研究の概要
頭部白斑変異(head spot)とは、ラットの毛色の劣性の突然変異です。この変異をホモにもつラットは、頭頂部の毛の一部が白くなります。
head spot変異は、我々が系統化したKFRS4/Kyoラットから見つかりました。以前、この変異を染色体上にマッピングしたところ、候補遺伝子として エンドセリン受容体B遺伝子(Ednrb)が見つかりました(Kuramoto et al., 2010)。しかし、KFRS4/KyoラットのEdnrb遺伝子のコーディング配列に変異は見つかりませんでした。
今回、九州大学の須山先生らは、Ednrb遺伝子の非コード領域の配列データを解析し、KFRS4/Kyoに特異的な変異の有無を調べました。
その結果、KFRS4/Kyoラットでは、Ednrb遺伝子の上流約50kbの位置に、約50kbのゲノム欠失があることが判明しました。 面白いことに、このゲノム欠失領域には、特別なヒストン修飾をうけるゲノム領域があることが示唆されました。
このヒストン修飾は、エンハンサーと呼ばれる遺伝子の発現を調節するゲノム配列によく見られます。
KFRS4/Kyoラットでは、Ednrb遺伝子のエンハンサー配列が欠失していることが原因となって、頭部の白斑を引き起こすと考えられました。
この研究成果は、 2017年3月、BMC Genetics 誌に掲載されました。
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