top of page

ブルーチーズ中のベータカゾモルフィン生成へのA1,A2ベータカゼインの影響:ペプチド解析による調査【学術論文】【専門向け】

  • 執筆者の写真: Takashi Kuramoto
    Takashi Kuramoto
  • 4月6日
  • 読了時間: 2分

農大A2ミルクブログです。第6回です。


A2ミルクに関する論文が発表されましたので、紹介します。


タイトルは、Impact of β-casein variants on the formation of β-casomorphins in blue cheeses: Investigating key drivers through peptidomic analysis


「ブルーチーズ中のベータカゾモルフィン生成へのA1,A2ベータカゼインの影響:ペプチド解析による生成物の調査」


雑誌:Food Research International

2025 Feb:201:115556. DOI: 10.1016/j.foodres.2024.115556


責任著者:Andrea Scaloni


責任著者の所属:

Proteomics, Metabolomics & Mass Spectrometry Laboratory, Institute for the Animal Production System in the Mediterranean Environment, National Research Council, 80055 Portici, Italy


利益相反

なし

 

食べ物由来の生理活性ペプチドの探索が注目されています。

中でも、ベータカゼイン由来のベータカゾモルフィン(BCM)というペプチドはよく調べられています。その理由は、BCMはオピオイド様の活性を持つからです。

牛乳を飲むと、小腸の酵素によって、ベータカゼインからはBCM7が生成します。このBCM7が腸管内で炎症を起こすリスクの一つとされています。

ベータカゼインにはA1とA2があります。A1の方が、A2に比べてBCM7が生成しやすいと言われています。


ブルーチーズでは、青かびが持つ酵素によって、乳タンパク質が様々なペプチドに分解されます。ベータカゼインたんぱく質も青かびの酵素によって分解されることが知られています。


しかし、どの程度BCMが生成するかは知られていません。

そこで、この研究では4種類のブルーチーズを対象にペプチド解析を行い、A1,A2由来のBCMを測定しました。


使ったブルーチーズは、ゴルゴンゾーラ、スケルトン、ベルガーダ、ブルー・ドーヴェルニュです。これらの蒸留水中でホモジナイズし、pH4.6に調整後、遠心しました。上澄みをLC-MSの検体として用いました。


いずれのブルーチーズからもBCM7は検出されました。しかし、含有量に有意差がありました。ブルー・ドーヴェルニュが最も高く、次いでベルガーダ。そして、ゴルゴンゾーラとスケルトンでした。


この研究から、ブルーチーズの熟成によってBCM7が生成することが分かりました。しかし、BCM7が他のBCMに比べて優先的に生成する、安定性が高いというものではないようです。


 

ブルーチーズの生産過程において、BCM7は生成します。今後、BCM7の生成を減らす工夫がなされるのではないでしょうか。


東京農業大学 庫本高志

最新記事

すべて表示

Comments


Tokyo University of Agriculture

© 2018 by Takashi Kuramoto

bottom of page