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〇読書案内「誰が科学を殺すのか」

  • 執筆者の写真: Takashi Kuramoto
    Takashi Kuramoto
  • 2019年12月25日
  • 読了時間: 2分

更新日:2019年12月26日

今回紹介するのは、『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』という本です。毎日新聞「幻の科学技術立国」取材班によるものです。The Decline and Fall of the Japanese scientific empireという英文タイトルがついています。

農大厚木の学術情報センターの新着図書として紹介されていました。


日本の科学技術力が低下していると指摘されています。本書では、その理由を探るべく、企業、行政、そして大学に焦点を当てています。

まず、企業ですが、巨大IT企業の出現、経済のグローバル化、新興国の台頭などの環境変化の中で、すぐに利益につながらない研究所を閉鎖するようななりました。そのため自前で研究できなくなりそれを行政に求めます。

行政は、国の機関であり、また研究を実際に行い、研究者を育成する国立大学に対して、企業の要望を飲ませようとします。そのために、大学の法人化を行い、トップダウン型の研究費の配分(選択と集中)を行うようになりました。

大学は、本来、研究力(いろいろなことを究める力)を高め、そのような研究をできる研究者を養成する場所です。しかし、運営費交付金や競争的資金を餌にした行政と企業からの求めに応じざるをえない状況に追い込まれています。研究者になりたいという若手も減っています。


私は大学に籍を置きますが、企業の研究力低下と、若手の減少は肌で感じます。以前は、学会に企業の研究者が多数来られ、発表もされていました。しかし、最近では皆無です。また、大学院生の発表も確実にも減少していると思います。

大学の研究力はどんどん低下し、存在感もなくなるでしょう。研究力が科学技術力を生みだすと思います。なので、日本科学技術力もどんどん低下するでしょう。科学技術力は生産効率を高め、企業の収益を高めます。なので、日本の企業の収益もどんどん低下するでしょう。


本来、もっとも科学技術力を必要とすべき企業は、間接的に自分自身の首を絞めていることになるのではないか?この本を読んで、こんなことを考えました。


対象:学部生、大学院生、就職活動する、研究者になりたい


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